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壬生狂言

 さて、8日の話の続き。大阪で山本能楽堂での虫干し展を見た後は京都へ移動。虫干し展に誘ったお返し?ということで、友人が招待券を持っていた壬生狂言に誘ってくれたのです。

 壬生狂言は京都・壬生寺に伝わる念仏狂言のひとつで、「壬生さんのカンデンデン」という愛称で親しまれています。鎌倉時代の円覚上人(1223-1311)が、壬生寺において教えを群衆に分かりやすい形で説くために、身ぶり手ぶりの無言劇に仕組んだ持斎融通念仏を考えつき、これが壬生狂言となったと言われています。

 前々から見たいと思っていましたが、都合が付かなかったり、それ以前に公演情報に気づかなかったり…。そんなわけで初めて見ました。

 実は…山本能楽堂を出発する時間が予定より大幅に遅れたので、昼食も食べずに急いだものの、13時開演のところが壬生寺到着13時半…(苦笑) とはいえ、山本章弘師のせっかくのお話を中座してしまうのも勿体なく…。次の用事のために私は14時過ぎには壬生寺を後にしなければならなかったので、見ることができたのは『土蜘蛛』1番だけでした(^^;)

 壬生狂言は近世に入って能や狂言などから取材して演目を増やしたそうですが、『土蜘蛛』はたぶん能の『土蜘蛛』を元に作られたものでしょう。大まかな流れは能と同じです。

 武士の頭領である源頼光が病気で寝込んでいる。部下の武者たち(渡辺綱と平井保昌)が元気づけようと酒宴を為して帰る。そこに土蜘蛛の精が現れて頼光を狙う。頼光は枕元にあった剣を抜いて応戦。さらに部下たちが駆け戻ってきたので、土蜘蛛は逃げ出す。部下たちは流血の跡を追って土蜘蛛を追い詰め、巣を放って応戦する土蜘蛛に苦戦するものの、ついには首を落として凱旋する。

 面白いのは全ての役が面をかけていること。能ならば直面(ひためん=面をかけないこと)の頼光や武者たちも面をかけます。壬生狂言ですから「狂言面」と呼ぶべきでしょうが、土蜘蛛がかけていたのが「飛出」と「顰」の中間的な面で、渡辺綱らしい武者は「べし見」をかけているといったように、能面と同形式の面が使われていました。

 装束も普通の着物っぽいものもありましたが、能や狂言と同じようなものも使われます。例えば土蜘蛛の役は、法被に半切・黒頭というほぼ能と同じ格好。

 凄かったのは、武者たちに追い詰められた土蜘蛛が舞台から飛び降りて逃げた箇所。壬生寺の大念仏堂独特の「飛び込み」という装置があるからできる演技なのだそうですが、完全に意表をつかれてびっくりしました。後を追って「べし見」の武者も飛び降ります。そして再び幕から登場。戦いの続きが始まって、ホント見ていて飽きませんでした。

 最後は土蜘蛛の役の人から面を黒頭ごと引き剥がして、首に見立てて、武者が掲げて終わります。2002年の大阪城薪能で拝見した能『大江山-替之型』(シテ観世銕之丞師)でも、ワキの源頼光(中村彌三郎師)が赤頭を掲げて首に見立てる、薪能ならではの特別演出がありましたが、それのオリジナルかもなどと想像していました。

 囃子は鐘・太鼓・笛のみ。ほぼ同じ演奏を繰り返すのですが、展開が盛り上がってくると笛の調子も上がったり、打ち方も激しくなったりと変化があって、なかなか面白かったです。

 ちなみに出演されているのは「壬生大念仏講」の人たちで、普段は別の本職を持たれながらも、そののかたわらに練習をし、公演をされています。…それにしても『土蜘蛛』で「べし見」の武者の役をされていた方、とってもお上手でした。堂々とした演技で、この方、能役者ではないかと思ってしまうぐらい(笑) 他の出演者の演技を引き出すなど、あの方が『土蜘蛛』全体をリードしているんだな、って感じました。そのレベルに達して演じるって気持ちいいでしょうね〜。

 能楽の能や狂言に比べれば、かなり素朴ですが、それが逆に新鮮でとっても面白かったです。それだけに時間がなくて、他の演目を見ることができなかったことが残念なばかり。(誘ってくれた友人は最後まで見たらしく、羨ましい!) 来年の公演はきっと見に行こうと決めました。毎年2月と4月、10月に演じられているそうです。

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