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舞台裏おもて―歌舞伎・文楽・能・狂言

4837306306舞台裏おもて―歌舞伎・文楽・能・狂言
監修:山田庄一・大藏彌太郎・吉田簑助 写真:岩田アキラ
マール社 2006-04

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 タイトルの通り、歌舞伎・文楽・能・狂言の舞台裏の写真や小道具などの写真がたっぷりな本です。能や狂言は自分で出たり、催しのお手伝いをしたりして、ある程度知っている部分もありましたが、歌舞伎や文楽の舞台裏には興味深々。

 歌舞伎は『助六由縁江戸桜』をモデルに、衣装の細かい解説に納得。細かいところにいろんな工夫があるのですね。特に紋が面白くて、主人公の助六(市川團十郎さん)には、これでもかと市川家の紋が入っているのは当然、相手役の揚巻も本人の衣装には入ってなくとも、お伴の若い者の浴衣に、役者の紋が描かれていたりと芸が細かいです。男伊達が着ている「かまわぬ」(鎌に輪に"ぬ")の柄浴衣も楽しいですね。ちょっとした小道具も凝られていて、これが"粋"ってことなんでしょうか。

 文楽は『曽根崎心中』。最近涙腺が緩いと思うんですけれど、あらすじを読むだけでだだ泣きです、この話(笑) それが増して、お初・徳兵衛の二人がお互いの体を帯で結びつけて、最後の抱擁の後、徳兵衛がお初の胸を一突き、続いて自分の喉を掻っ切る場面の写真なんて見せられると…胸がじーんとしてしまいます。近松門左衛門作として有名で、私も文楽を見る前から名前だけは知ってましたが、実は昭和30年に復活されるまで、長い間上演されてなかった作品なんだそうですね。

 しかし楽屋の写真などで、おいてある人形の生気のないこと。しかし舞台ではそんなこと思ったこともないので…人形遣いの人は、人形を"生かす"オーラを持ってらっしゃるんでしょうねぇ。

 大道具・照明・音響など、能や狂言には存在しない「舞台裏」の様子も興味深く読みました。

 能は『井筒』、狂言は『棒縛』でした。面白かったのは狂言で使われる足袋。黄色の縞が入った特有の物ですが、これは白足袋以前の、鹿の皮で作られていた時代の名残だとかで、その元だという大藏家伝来の鹿革足袋の写真が見れたことです。

 それぞれの芸能を別々に紹介するだけではなくて、間のページには、歌舞伎と文楽で共通の演目や"人形振り"という歌舞伎役者が文楽人形の真似をする話、能や狂言から歌舞伎や文楽に取り入れられた"松葉目物"の話や、それぞれの芸能で描かれる弁慶と義経(五条橋の話)の比較など、それぞれの芸能を一緒に紹介する本ならではの工夫もありました。

 ともかく写真が多いので、伝統芸能好きの人にはオススメな本です。

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狂言日記*そろりそろりと参ろう:舞台裏
それは風が決めることだから…:「舞台裏おもて―歌舞伎・文楽・能・狂言」

funabenkei | 本の感想(マンガ含) | 08:37 | - | - | - | - |

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