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大絵巻展

大絵巻展

 現在、京都国立博物館で催されている「大絵巻展」に行ってきました。絵巻はその絵自体にも魅力がありますが、その物語性や具体的な人々の格好、当時の風習や考え方が伺えるのが大好きです。

 …というか、絵の価値があまり分からない人間として、後者の鑑賞こそがメインの目的だったりして(笑) 一緒に行った中学以来の友人は、大学では美術部だったので、絵としての魅力だとか技法などに熱心に見入っていたようでした。そちらの価値も分かれば倍楽しいだろうに残念です。

 ところで、今回の目玉はなんといっても『源氏物語絵巻』『鳥獣人物戯画』といった国宝絵巻の本物が見れたこと! 先月に『源氏物語絵巻』を所有している愛知県の徳川美術館には行きましたが、展示期間ではなかったので見れたのは写真のみ。…全然違います。本物の魅力といったところでしょうか。

 まず、思ったより小さかったこと。私が初めて『源氏物語絵巻』の写真を見た本(図書館にある美術全集でした)が大きかったこと、そして後で付けられたものですが「国宝絵巻」という肩書ですから、圧倒してくるような大サイズとなんとなく思っていたので、こんな可愛らしい絵巻だったとは思いませんでした。でも、どことなく引き付けられるようなものを感じるんですよね。

 私が行った時に展示されていたのは「蓬生」の巻。光源氏が乳兄弟の維光に露払いをさせて、末摘花の荒れ果てた邸を訪ねる場面です。展示替えで後に「宿木」や「東屋」の巻が展示されるようですが、夕霧・雲居雁夫婦が結構好きな私としては、落葉宮から届いた文を読んでいる夕霧の背後から、雲居雁が手紙を奪い取るその瞬間を描いた「夕霧」の巻も見たかったなぁ…(笑)

 『信貴山縁起絵巻』も、大学で受けた美術史の講義レポートのためにいろいろ調べた絵巻だったので楽しく見れました。展示されていた「飛倉の巻」は修行者の托鉢の鉢に乗って倉や俵が空を飛ぶという奇想天外な内容ですが、驚いている家人の表情などがなんとも言えなくて好きですねぇ〜。『鳥獣人物戯画』はやっぱり良かったです。ユーモラスだけど、センス良くて上品ですし、こんな絵を考え付いた人って天才だと思います。

 今まで述べた三つの絵巻に、内裏の正門である応天門の炎上から、伴大納言の失脚までを描いた『伴大納言絵巻』を加えたものを俗に「四大絵巻」なんて呼びます。事件のドキュメンタリー的な要素が強くて、四大絵巻中では最も好きな絵巻ですが、今回唯一展示されてなかったのは少し残念でした。

 ほかの絵巻に関して一つずつ印象を述べることはしませんが、特に印象の深かったものを挙げると『地獄草子』『餓鬼草子』『病草子』といった六道絵でしょうか。極楽往生への勧めとして、輪廻転生の中で、特に苦しみの多い世界の様子を描いたものだそうで、話としては『地獄草子』も『餓鬼草子』も、どこかで聞いたことのあるようなものです。

 でも、絵が迫ってきて不思議な説得力がありました。やはり鬼に臼で曳かれたり、糞尿まみれになって恐ろしい蟲に喰われるなんて地獄には落ちたくないなぁ、って思いましたもの。ましてや絵巻の描かれた時代にはさぞかし効果を発したことだと思います。『病草子』は六道絵としては少し異質でいろいろな病気(?)を描いたものですが、「口の臭い女」なんてちょっと笑えます。美人なんだけど…男も女も近くには寄らない(笑)

 それから『十二類絵巻』。これはいわゆる十二支の動物たちと、含まれない動物たちが戦をするという物語を描いたものなんですが、全体的に洒落っ気が効いており、見ていて楽しい絵巻物でした。

 画中詞といって、絵の中にマンガのようにそれぞれの登場人物(動物?)のセリフが書き込まれているのですが、宴会の場面で、申(猿)が舞を舞いながら「春は花が散らざる。秋は月が隠れざる。思う人には離れざる。辛い目には合わざる」などと言うのが上手い。ほかに巳(蛇)が「酒を一口飲みぬ。今は衣うち脱ぎてのびのびと寝ばや」と言っているのも蛇の脱皮や長い体を思わせる洒落たセリフですよね。

 あとは『法然上人絵伝』や『東大寺大仏縁起』などで、徳の高い僧侶の目から光が発せられていた表現(笑) いや高僧を笑ってはダメなんでしょうけれど、友人と2人「仏法ビィィム!」なんて罰当たりなことを言って笑ってましたたらーっ

 とにかくも本当に多数の絵巻が展示されており、「大絵巻展」の名前に恥じない内容だったと思います。また展示替がなされた後の後半に行ってみたいものですね。行けるかな?

funabenkei | 博物館・美術館 | 23:17 | - | - | - | - |

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