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『外国人の能楽研究』

 最近書くのは今日の話ではないことばかりなんですが、休みの日に大学へ行きました。引っ越して近くに友人もいませんし、いても平日が休みだと捕まりません。そんなわけで能楽部の後輩にこちらから会いに行く(笑) 新入生とも話しましたが、新入生って若いです。18歳ですもんね。

 ところで大学図書館は卒業生でも申請さえすれば利用できると聞き、早速行ってきました。大学図書館に揃っている能楽やその他伝統芸能・歴史関係の本や雑誌が全部タダで読めるのですから、利用しない手はないってものです。大学ってやっぱり良い場所ですね。在学中より愛着を感じたりして(笑)

 というわけで、大学図書館から借りてきた本が『外国人の能楽研究』。法政大学能楽研究所が編集した能楽(能・狂言)と外国人との関わりについて紹介した本です。2003年7月に催された法政大学能楽セミナーでの講演と同時開催の資料展を基に編纂されてます。 目次を挙げてみると

I.能に注がれた外国人のまなざし
 先駆者たちが見た能楽      川村ハツエ
 ペルツィンスキーの能面研究   西野春雄
 能翻訳の変化/この100年     モニカ・ベーテ
 クローデルと能         渡邉守章
 海外公演で感じたこと
 -1954年のヴェネチア演劇祭ほか- 観世榮夫

II.能楽関係外国語文献目録

となっています。「先駆者たちが見た能楽」では主に、明治19年に東京帝国大学に博言学(言語学)の教授として招かれたチェンバレン(Basil Hall Chamberlain 1850-1935)を中心に、明治・大正の来日外国人たちと能楽の関わりを紹介してます。実は能の詞章である謡曲を著書『The classical poetry of the Japanese(日本人の古典詩歌)』で紹介し、最初に文学的に評価したのはチェンバレンだそうです。

 ほかにイギリスの駐日外交官アーネスト・サトウや日本美術の再評価を促したフェノロサといった、高校日本史で勉強した馴染みのある名前が出てくるに至って、歴史好きな私はどこか心躍るような感覚が芽生えてきました。とても楽しい読み物でしたね。

 次の「ペルツィンスキーの能面研究」は、ドイツ人の美術史家ペルツィンスキー(Friedrich Perzynsky 1877-?)の紹介です。彼は生没年もはっきりしない「忘れられた存在」だったのですが、世界で初めて能面・狂言面の研究書『Japanische Masken: No und Kyogen(日本の仮面-能と狂言-)』を出版した人です。当時の日本にもこのレベルの出版は存在しませんでした。

 1月にあった金剛能楽堂特別企画の、最初の能面に関する対談で少し「明治期に研究書を出版したドイツ人」の話がありましたが、それがペルツィンスキーだったのかと思って興味深く読めました。歴史上の面打師の中でも特に赤鶴を好んだらしく、著書の序文に「赤鶴は日本最大の彫刻家の一人であるのに」と記しているほどです。初世金剛巖の著書『能と能面』にも赤鶴の項に「ペルジンスキ氏」として記され、彼の能面鑑賞の様子が少し伺えます。

 三番目の「能翻訳の変化/この100年」は、能『井筒』の最後の部分を例に、英語翻訳の変化を紹介したものなんですが…私、英語って大の苦手で(苦笑) ほとんど分かりませんでしたたらーっ 英語の勉強もしなければいけませんねぇ…。

 「クローデルと能」は、フランスの詩人で劇作家、そして駐日大使だったクローデル(Paul Claudel 1868-1955)の紹介です。『内濠十二景、あるいは《二重の影》』といった新作能の原作者として名前を見かけることもある人物ですが、実際何者なのか全く知らなかったので、勉強になりました。

 ただ講演者の渡邉守章教授は仏文学者で演劇人なので、その系統の専門用語が多くて、少々分かりづらかった部分もありましたけれどね(笑) まあ前の章よりは、ずっと理解できますけれど。

 最後の「海外公演で感じたこと」は、シテ方観世流の観世榮夫師による海外公演の経験談です。今でこそ能や狂言の海外公演も盛んですが、1954年のヴェネチア演劇祭は初の海外公演でした。向こうには舞台がないので歌舞伎座大道具の人に作ってもらったそうですが、当時の飛行機では運べないかったので船で送ったところ、予定通りに着かなかったり、といろいろな苦労話が(今だからですが)楽しいです。『花よりも花の如く』4巻にもニューヨーク公演の話がありましたし、海外の能というのも面白いですね。

 私の力量が足りず(特に英語力)理解しにくい部分もありましたが、全体的に面白い本でした。これからも図書館を活用するべく大学に通おう(笑)

funabenkei | 本の感想(マンガ含) | 23:23 | - | - | - | - |

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