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『梅枝』と『富士太鼓』/初小書

 今日は大鼓の稽古でした。曲は『梅枝』。全然知らない曲で、稽古を受けるにあたって自分なりに謡ってもみましたが、全然イメージが分からない。知らない曲は打つのも難儀します。

 『能・狂言事典』で『梅枝』を引くと「本曲は夢幻能だが、同じ題材とヒロインで現在能にしたてたものに《富士太鼓》がある」とあり、曲を性格付ける重要な要因である舞も『富士太鼓』と『梅枝』は同じ「楽」。そんなわけで、一度目のお稽古では『富士太鼓』の、恨みを込めたイメージで打っていたのですが…これが大間違いでした。

 『富士太鼓』は「楽」の直前が「よしなの恨みや。もどかしと太鼓打ちたるや」、直後が「持ちたる撥をば剣と定め。瞋恚の焔は…」と続きますから、まあ「恨み故の狂乱」で間違いないでしょう。

 『梅枝』にも確かに『富士太鼓』と相通じる言葉は多いです。同じ題材を扱った能なんですから当然です。「楽」前のロンギと呼ばれる部分にも「懺悔の舞」「愛着の心」「妄執」といった言葉があります。でも「楽」の直前は

「梅が枝にこそ。鶯は巣をくへ。風吹かば如何にせん。花に宿る鶯」

 「楽」の直後は

「面白や鶯の。声に誘引せられて花の陰に来たりたり」

 さらに続いて大ノリの謡となって

「我も御法に引き誘われて。今目前に立ち舞ふ舞の袖。これこそ女の夫を恋ふる。想夫恋の。楽の鼓」

 …どこが恨みを込めたイメージやねん!? この部分は夫の生前の、楽しかった時代を回想しての舞なんですね。師匠から「もっときちんと謡を読まねばダメだ」とのご注意を受けましたが、ホンマにその通りです…。

 知らない曲なのだから、他の曲以上にそういった注意を払わねばならないのに…。ここぞ!というところが甘い私です。大鼓の稽古に限らずに…。


 それでも何とか打ち切って、次の曲へ。『梅枝』で一通り基本的な舞事のお稽古を終えたため、師匠から新しくいただいた曲は『唐船-盤渉』。『唐船』自体は前にお稽古を付けていただきましたが、ミソは「盤渉」の小書(替の特殊演出)がついていること。初の小書物です!

 師匠が仰るには「最近でこそ、小書の能もよく出るけれど、本来は小書は重い物。例えば次に稽古する盤渉楽だって、祖父のころは大ごとだったと聞いている」とのこと。師匠によりけり、だそうですが、私の師匠はそういった昔ながらの風習を本当に大切になさります。

 シテ方の師匠にしても同様。だからこそ、学生の身で小書のついた能や舞囃子なんて、どんなものにしろ考えもつきませんでした(大学によってはやってますけれど…)。それだけ基本に忠実であることが能(というか狂言を含めた能楽全体)に大切な事だと教えられてきたわけですし、そう思ってます。

 だからこそ、私に小書物の稽古を付けて下さることは非常に嬉しい! でも同時に畏れ多いような…。これまで以上に頑張りたいと思います。

funabenkei | 大鼓の稽古 | 23:44 | - | - | - | - |

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