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能と歌舞伎による『船弁慶』『石橋』

 今日放送されたNHK教育の「芸能花舞台」で、能楽大鼓方葛野流の亀井広忠師とその歌舞伎長唄囃子方の弟さんお二人で催されている「三響会」の映像が流されました。

★能と長唄による『船弁慶』
平知盛の霊=観世喜正
笛=福原寛 小鼓=田中傳左衛門 大鼓=亀井広忠 太鼓=田中傳次郎
地謡=梅若晋矢ほか 唄=杵屋利光ほか 三味線=今藤長龍郎ほか

★能と歌舞伎による『石橋』
獅子の精(白)=梅若晋矢 獅子の精(赤)=中村勘太郎
笛=福原寛・一噌幸弘 小鼓=田中傳左衛門
大鼓=亀井広忠 太鼓=田中傳次郎
地謡=観世喜正ほか 唄=杵屋利光ほか 三味線=今藤長龍郎ほか

 例によって再放送・再々放送も行われますので、見逃された方はそちらで是非チェックを!

(再放送)2月18日(土)朝5:15〜6:00
(再々放送)2月19日(日)深夜24:15〜25:00

 亀井家は父が能楽大鼓方葛野流で人間国宝の亀井忠雄師、母が歌舞伎長唄囃子方の田中佐太郎さんという、濃過ぎる囃子の家なのです。詳しくはNHKのドキュメンタリー番組『鼓の家』で紹介されていたので、そちらも併せてお読みください。

 さて宣伝終わり(笑) 以後は私の個人的な感想です。

 『船弁慶』は前半の静御前の場面にあたる部分では、舞台奥に唐織を飾って静御前を暗示させるのは面白かったですし、平知盛役として白狩衣の袖を上げた姿で長刀を振り回した観世喜正師の演技は堂々としたもので、広い舞台にも歌舞伎の囃子にも負けてなくて、とても良かったのです。

 しかし、三響会の売りである音楽部分となると正直、能の謡や囃子と長唄の切り貼り…って印象が強かったです。上手く混ざっているというよりは無難にくっ付けたというか。番組開始直後のインタビューで田中傳左衛門さんが「能と歌舞伎のそれぞれの台本を張り合わせた」と仰ってましたが、本当にそれだけって印象を持ちました。

 『石橋』は赤獅子・中村勘太郎さんを通じて、歌舞伎の体・動きというのを見せ付けられた感じがします。特に膝をついてからもまだまだ動く! あの動きは凄いなぁ…。歌舞伎の獅子といえば頭を振り回すイメージですが、それを映像ながら初めて見ました。大迫力! 生でも一度見てみたいものです。

 でも、能を見慣れた身には、頭を振り回している途中に背中が見える箇所が二箇所ほどあったのですが、その背中に力強さが足りないように感じたのが少し残念(笑) …頭に意識が行っているのは分かるんで、我ながら意地悪な見方だと思うんですけれどね。

 一方の白獅子・梅若晋矢師ですが…力強い動きの上に技が切れてステキなんですが、歌舞伎と比べると、どうしても大人しいというか地味でしたね(笑) 『石橋』って能では最も激しい動きをする曲なんですけれど…。白獅子は重々しく動くものですから、そういうことでたらーっ

 『石橋』にて紅白の獅子が登場するとき、白獅子が父、赤獅子が子といわれます。今回は白獅子が能で、赤獅子が歌舞伎。それぞれの芸能を代表して演じているかの様に感じました。親子関係というとちょっと違うと思いますが、先行芸能と後発芸能ですから。

 また紅白の獅子が途中で同じ一畳台に上っては、白獅子が蹴るように拍子を踏むと赤獅子が飛び降りる型が行われます。いわゆる「獅子は子を千尋の谷から突き落とす」という型なんですが、派手で目立つ子(歌舞伎)に対して、力強いけれど地味な父(能)が悔しさの余り蹴りを入れたようにも見えてしまう(笑) いかん、こんな見方では…ふぅ〜ん

 それにしても長唄部分での囃子は激しいですね。特に田中傳次郎さんが打つ太鼓がめちゃくちゃ早い! 思わず、獅子として舞ったり踊ったりしている二人よりも、傳次郎さんの太鼓の撥を凝視してしまいました。

 …と、能と歌舞伎の音楽による融合?というか、競演の効果には疑問点もありますが、能ファンで、歌舞伎にも興味を抱きつつある私にはとても楽しめる内容でした。関西公演ってないのかなぁ(笑)←東京に行く気はないらしい

■関連記事
迷宮探索:TVで(紅白の獅子の対話は爆笑もの!)
三味栄のにつ記:芸能花舞台で三響会を聴く
Soliton綴り:13.5
のぅライン:三響會−三兄弟ー

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funabenkei | 映画・ビデオ・テレビなど | 23:17 | - | - | - | - |

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