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なんて素敵にジャパネスク(6)後宮編

4086114291なんて素敵にジャパネスク(6)後宮編
氷室 冴子
集英社 1990-07

by G-Tools
 帥の宮が企てている陰謀を暴いてやると、復讐に燃える瑠璃姫は、まず情報収集のために煌姫を帥の宮の邸に送りこむ。さらに、帥の宮の正体を探るために自ら後宮に入り込むが、東宮の生母である桐壺女御の周囲で物の怪騒ぎが起きていることを知る。事件の背後に帥の宮の影を感じた瑠璃姫は、後宮で孤立している桐壺女御と東宮の味方をしようとするが…!?

 この巻は「平安ラブ・コメディ」の「ラブ」が一気に姿を潜めて、政治的な話が前面に出てストーリーが展開します。大皇の宮(鷹男の帝の母。国母)が語る『ジャパネスク』における皇族の血縁関係…。それを元にした系図が目次・これまでのあらすじに続く、本編直前に掲載されていることもその反映です。藤宮の血縁も語られてますね(^^) 恋愛と並ぶ平安時代もののもうひとつの柱、「血縁と政治」ははこうでなくちゃ!

 「後宮異変!」の報をもって、高彬のもとに蔵人頭の使者として、兵衛佐がやってくる…。こういうの大好きです。私が大学で歴史を専攻しようと思ったのは、こういう平安時代の官職などが好きになったから、であったことを思い出しました。

 蔵人頭とは、氷室冴子さんの文を借りるならば「それやこれやのやっかいな手続きをとびこえて、今上のプライベートな御用を、リアルタイムで、フレキシブルにこなす」官職で、いわば「帝の秘書官長」「身分は公卿よりは下なんだけど…権力が集中してい」「若い公達のなかでは、まさにトップエリート、ヤングエグゼクティブ」なんです。

 蔵人は身分は低くても、帝のお側近くに侍るエリート集団なんですよね。例えば、天皇の宮殿に上ることを許された人を「殿上人」と呼び、貴族の最低ラインですが、位が五位以上になって初めて殿上が許されるのです。逆にいえば六位以下の、殿上できない官人は貴族として扱われません。

 五位以上と六位以下は、数字でいえば一位の違いでも、非常に大きな隔たりがあるのです。が、六位でも蔵人なら、特別に殿上が許されたのです。職務の関係から、殿上できないと話にならないわけですが、これが大変な名誉でした。

 蔵人は天皇から下げ渡された装束を着ることもあったそうですが、それもお側近くに侍るからこそ。その長官たる頭は、近衛中将か事務官僚の弁官の職にあるものが兼任したので、それぞれ頭中将・頭弁と呼ばれ、公卿へのステップアップコースでした。

 …と、『ジャパネスク』には直接関係ない話を熱く語ってしまいました(^^;) でも好きなんですもの。

 桐壺女御は鷹男の帝の添臥だった…「添臥」とは皇子が元服(成人式)をした夜、その皇子に、親王や公卿の娘を添寝させるという平安時代の特徴的な風習ですね。 つまり初めての相手というわけで…ちょっと赤面。もっとも乳母が元服までに男女のことの手ほどきまでする、という話も聞いたことがありますけれど…。

 しかし、この後宮編。帥の宮登場以来、瑠璃姫が今までないくらいにイライラしていて、ちょっと瑠璃姫らしくないようにも思います。…すきっ腹に寝不足、さらに帥の宮憎しゆえとは分かりながらも、あまり好きではないです。

 ところで、最後の場面に登場する帥の宮。智略にたけ、すばやい行動力があり、鋭い判断力と、人殺しにも動じない冷酷さ、おまけに腕も立つ。まさに「悪のヒーロー」といった具合。ここまで見事に決められると、高彬とはまた違う面で、思わず「尊敬」と「憧れ」を持ってしまいますね。

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funabenkei | 本の感想(マンガ含) | 22:56 | - | - | - | - |

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