<< 冠の話 | top | 阪神淡路大震災10周年追悼 能のつどい >>

続ジャパネスク・アンコール!

続ジャパネスク・アンコール!
氷室 冴子
集英社 1999-04


by G-Tools

 『なんて素敵にジャパネスク』の4冊目、『続ジャパネスク・アンコール!』を読み終えました。これで瑠璃姫と高彬が結婚するまでの、マンガ化されている範囲は読み終わったことになりますが…。時々、マンガ版も読み返したりしてました(笑)

★「守弥のジャパネスク・ダンディ」

 高彬と煌姫を契らせるという策略が失敗に終わった守弥は、瑠璃姫がこもる吉野に乗り込むが…(「守弥のジャパネスク・ダンディ」)

 ついに守弥と瑠璃姫の直接対決。結果は守弥の惨敗ですが(笑) 守弥って高彬やその実家である右大臣家では強いけど、女性、しかも変わった姫君にはとても弱いらしい。瑠璃姫とか煌姫とか。守弥にとっては大変でも、その慌てぶりが面白い。読み直していて、私、守弥が好きなんだな〜と自覚しました(笑)

 瑠璃姫のことを考えている内、頭を打ったための記憶喪失も手伝って、「『よもや、わたしが瑠璃姫に懸想…?』そう考えたとたん、すっと首筋が熱くなるのが自分でもわかった」 この辺りの心理は、非常に親近感があります(笑) 恋愛感情は、少なくとも惚れっぽい私にとっては、ほかの感情と必ずしもきっぱり割り切れないもので、「もしや…」と一度ふと思ってしまうと、なんとも落ち付かない状態になってしまうのです。

 守弥は最後に「若君が瑠璃姫にお弱いのも、わかる気がする」と言ってますが、守弥自身も弱くなって都に帰ります。堅物で朴念仁な守弥が瑠璃姫に返す言葉がおバカで微笑ましいです。

 もっとも全編の主人公である瑠璃姫は、少し影が薄めです。吉野君事件の影響で、根性や気力が失せている状態らしい。あと、この話の最後、守弥が帰京した場面にて高彬が珍しく(笑)得意な琵琶をかき鳴らしていました。

★「小萩のジャパネスク日記」

 流行り病で父母を亡くした小萩は、幼い姫の話相手として大貴族の邸に勤めることに。それが瑠璃姫だった。(「小萩のジャパネスク日記」)

 瑠璃姫のお付き女房である小萩が瑠璃姫との出会いを思い出して記したという、日記文学のパロディ。小萩はあらすじとして要約してしまうと表には出ないし、マンガ版でもあまりカラーイラストにはならないような人物ですが、ストーリー展開の要となることも少なくない重要な人物。瑠璃姫の周辺にテキパキと采配を振るうのが似合ってます。

 小萩は父母の死後、叔母夫婦の家に引き取られたものの、持て余されていたのですね。マンガ版ではあまり描かれていませんが。結局、叔父の出世の手段のように、瑠璃姫のお付きになったわけで、「いくら血のつながらない姪とはいえ、その姪をお邸勤めに出して除目で手ごころを加えてもらう約束を取り交わしていたなど、叔父として、あまりにひどい仕打ちでございました」と叔父を恨めしく思う部分がありますが、そこからか1巻で里下がりした時も「叔母の家」と言ってますね。叔父の国司としての収入で建てた家であろうことは確実なのに。

 ところで1巻での小萩の里下がりに関して、高彬のお付きの者から言い寄られているとありましたが、誰なのかな?と思ったり(笑) 守弥ではないのは確かですから、政文か将人か兼助か…などと想像するもの面白い。高彬が外に行くときには、どうやら政文が付いているようで、政文だろうかと想像してますが。

 ノンさんのコメントを受けて考え直し。確かに政文はプライドが高そうで違うかも。「ジャパネスク・スクランブル」(『アンコール』収録)で、守弥が瑠璃姫の手紙を握りつぶしていたことを高彬が知ったとき、代わりに文を任せた将人は比較的、瑠璃姫に理解があった方だと思えるので、彼が怪しいのではないかな…って何を懸命に推測してるんだか(^^;)

 ところで、私も平安文学で最初に好きになったのが日記文学の一群で『蜻蛉日記』『紫式部日記』『更級日記』とそれぞれありますが、当時の人間の本音が書かれているようで親しみがあるのです。

★「瑠璃姫にアンコール!」

 いよいよ都へ戻ることになった瑠璃姫。みなには内緒でこっそりと帰京するのだが、待っていたのは怒った高彬だった。(「瑠璃姫にアンコール!」)

 久しぶりの瑠璃姫が主人公の話。「表の瑠璃姫、裏の夏姫」の言葉が登場しますが、裏の主役は夏姫です。

 この話、短いわりに込み入っていて高校生で読んだころには事実関係だけは分かったのですが、夏姫と高彬の姉である聡子姫、涼中将の三人それぞれの感情が今ひとつ分からず、印象の薄い話でした。

 しかし、今読むと随分受ける印象が違う。私自身がその後、恋愛も失恋も一応は経験したからでしょうか。聡子姫の「男と女のことは、どちらか一方が悪いというわけでもないのですわ、瑠璃さま。わたくしも、わがままでした。でも、悔やんでも遅いこともありますの」、涼中将の「綺麗ごとばかりではありませんよ。男と女の仲はね」 二度と戻らないだろう、と予感できる亀裂ってありますよね。だからこそ、いろんな執着に別れを告げて去って行く夏姫が鮮やかです。

 夏姫は瑠璃姫のパラレル。もう一人の瑠璃姫ともいえる存在ですが、こういう凛とした女性ってステキですね。ちょっと怖いかな、とも思いますが。それにしても瑠璃姫の弟である融の乳兄弟で、伊予守の娘ということは、「高彬のジャパネスク・ミステリー」(『アンコール』収録)に登場した善修の姉なんですね。…似てない(笑) 融も瑠璃姫とあまり似てないですけど。

■関連記事
なんて素敵にジャパネスク(1)
なんて素敵にジャパネスク(2)
ジャパネスク・アンコール!
なんて素敵にジャパネスク(3)人妻編
なんて素敵にジャパネスク(4)不倫編
なんて素敵にジャパネスク(5)陰謀編
なんて素敵にジャパネスク(6)後宮編
なんて素敵にジャパネスク(7)逆襲編
なんて素敵にジャパネスク(8)炎上編
なんて素敵にジャパネスク 人妻編(マンガ版)

funabenkei | 本の感想(マンガ含) | 21:45 | - | - | - | - |

07
--
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
--
>>
<<
--
RECOMMEND
花よりも花の如く 7 (花とゆめCOMICS)
花よりも花の如く 7 (花とゆめCOMICS) (JUGEMレビュー »)
成田 美名子
能楽師を主人公にしたコミック第7巻。今回は憲人出演のTVドラマのお話がメイン。ドラマの舞台が京都なのが関西勢としてはちょっと楽しい。
RECOMMEND
 (JUGEMレビュー »)

CDなのに深いコミや息使いが感じられるかのよう。最高の能楽囃子CDだと思います。
RECOMMEND
中・高校生のための狂言入門
中・高校生のための狂言入門 (JUGEMレビュー »)
山本 東次郎, 近藤 ようこ
中・高校生に独占させるのはもったいない狂言入門書です。"再入門"にも最適。
MOBILE
qrcode
OTHERS
LATEST ENTRY
CATEGORY
ARCHIVE
LINKS
PROFILE
SEARCH